列星森として
向こうざす心を

街角今年も、はや上半期最後の月となった。
古人は「月日は百代の過客」と詠(よ)んだ。昔から「人生は旅である」といわれてきたが、それは片道キップで終着駅の分からない「還らざる旅」である。
これからもそれぞれの人生の旅を歩むにつけて、「向こうざす心」を持つことが、旅路をより充実したものにする秘訣ではないだろうか。
桜田門外の変で有名な井伊家の初代・井伊直政は、家康の許しを得て、滅亡した武田家の旧家人数名を迎え入れた。彼等は新しい主家となった井伊家の当主・直政の処遇に痛く感激して一生懸命働いた。
ある時、彼等武田の旧家臣たちは井伊直政へ、日頃の御礼の意味を兼ねて一つの書状を差し出した。
「私どもの旧主武田信玄殿は若年のみぎりより、隣国の上杉謙信殿には負けまいと、絶えず〈向こうざす心〉をお持ちでした。そのためか川中島の合戦はじめ、一度も負けたことはございませんでした。ところが徳川の家臣団の中には井伊、本多、酒井、榊原という四天王といわれる四家があるそうですが、私どもが見ております限り、殿には権勢に恬淡(てんたん=欲が無く、物事に執着しないこと)とされております。このままでは他の三家に負けてしまう気がしてなりません。どうぞ殿には、他の三家には負けないぞという〈向こうざす心〉をお持ちください」

「向こうざす心」とは、相手に負けまいとする闘争心というよりは、常にライバルを意識し、自分なりの目標を持って進む心ではないだろうか。その後、琵琶湖畔の小さな彦根藩の井伊家から、7人もの大老職(今の総理大臣)を出したことは、決して偶然ではなかろう。


大乗山 持経寺住職  丸岡雄道・著『麻畝の性 巻頭言  第一聚』より(禁無断複製転載)
巻頭言バックナンバー
新着情報

令和3年6月1日 行事案内/6月の主な行事を掲載いたしました。

令和3年6月1日 トップページ/巻頭言を更新いたしました。

令和3年5月1日 行事案内/5月の主な行事を掲載いたしました。

令和3年5月1日 トップページ/巻頭言を更新いたしました。

令和3年4月1日 行事案内/4月の主な行事を掲載いたしました。

令和3年4月1日 トップページ/巻頭言を更新いたしました。

令和3年4月1日 行事案内/4月の主な行事を掲載いたしました。

令和3年4月1日 トップページ/巻頭言を更新いたしました。

令和3年3月1日 行事案内/3月の主な行事を掲載いたしました。

令和3年3月1日 トップページ/巻頭言を更新いたしました。

令和3年1月1日 行事案内/1月の主な行事を掲載いたしました。

令和3年1月1日 トップページ/巻頭言を更新いたしました。

このページのトップへ

HOME持経寺の沿革行事案内日蓮正宗の信仰法話選集正しい信仰と功徳法華講持経寺支部
お問い合わせこのホームページについてリンクサイトマップ